1970年代のウォルサム自動巻きモデルです。
ウォルサムは、懐中時計が有名なアメリカ最古の時計ブランドです。
1850年頃にはじまり、1885年頃社名にウォルサムを冠するようになりました。
1957年にはアメリカでの生産を終えて、スイスに本拠を移転します。
ブラックの回転ベゼルを配し、スポーティーなデザインに仕上がっています。
ブラウンの文字盤には縦方向の筋目があり、3時ー9時には横のラインが入っています。
インデックス先端が黄色、秒針が赤色で、カラフルな見栄えになっています。
裏蓋はスクリューバック仕様で、リューズはウォルサム純正でWロゴ入りです。
リューズはねじ込み式ではありません。
搭載しているムーブメントは、フォンテメロンのCal.909です。
Cal.909は、変わった仕様のカレンダー修正機能を持っています。
リューズを2段引きしてリューズを下方向に回すと、日付と曜日両方が1つ進みます。
日付単独で修正する場合は、リューズを2段引きしてリューズを上方向に回すと、日付が1日戻ります。
この機構では日付と曜日を個別に合わすことができますが、日付を進めると曜日も進んでしまうため、日付だけ進めたい場合(例えば9月30日→10月1日)はわかりにくい印象です。
この独特のカレンダー早送り仕様によって、Cal.909は同時代の主流の設計になれなかったようです。
そういった経緯があり、流通量が多かったETAやア・シールドの自動巻きムーブメントと比べて、Cal.909がはるかに希少な存在になってしまいました。
オメガのCal.564やゼニス エルプリメロのCal.400Z等、一段引きで時刻合わせ、二段引きでカレンダー調整のムーブメントに慣れた方でしたら、操作で困ることはないと思います。
キャリバー909の操作方法
手巻き: リューズ通常位置で、上方向回転
リューズの引き方: ケースとリューズの間に爪を差し込んで、優しく引き出す
リューズを強く引くと抜けるおそれがあります。優しく引き出してください。
リューズ曲がりを防止するために、腕から時計を外して操作してください。
優しく操作することで、リューズへの負担を軽減できます。
時刻合わせ: リューズを一段引いて、下方向回転
日付修正機能: リューズ二段引きして上方向回転で、日付戻り
曜日修正機能: リューズ二段引きして下方向回転で、日付と曜日進み
時計が『21時〜翌2時』を指している時に早送り操作を行うと故障します。
早送りを行う場合は時刻を6時あたりに合わせてから行うことをオススメします。
状態
こちらは当店でオーバーホールと外装仕上げ済みです。
革ベルトは新品ディモデル製に交換済みで、気持ちよくご使用いただけます。
回転ベゼルはクリック感があるタイプではなく、程よい重さで両方向に回転可能です。
古い年代のため、非防水です。
雨の日や暑い日の着用を避けてご使用ください。