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ウォッチコレ◆殺した。埋めた。バレたら終わり◆ブリリアントタイムvol.450

ウォッチコレ◆殺した。埋めた。バレたら終わり◆ブリリアントタイムvol.450

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商品説明

ウォッチコレ◆殺した。埋めた。バレたら終わり◆ブリリアントタイムvol.450◆Watch-Colle ブリリアントタイム◆
〇2022年2月4日vol.450〇 
ウォッチコレブリリアントタイムを開封してくださった皆様、
こんにちは!Harukaです。

前回のメルマガで、2月4日立春は旧暦の元旦にあたり、
運勢の切り替わる日でもある、と書いたことをご記憶でしょうか?

今日はその立春!

つまり、新年に立てた誓いやあれこれが崩れかかっている人も、
もう一度立て直してやり直すのに最適な日です。^^

今年こそ“その日のうちに寝る!”と誓いを立てながら、
既に毎晩午前1時過ぎ、なんなら2時、3時に寝ている私もリスタートです!

さあ、皆様、私と一緒に新年の誓いをやり直しましょう♪

それでは、今日もしばらくの間、決意を新たにしたHarukaと
ブリリアントなお時間をご一緒してくださいね!


◇ブリリアントタイムでは、あなたからのメッセージを心よりお待ちしております。

⇒ webmaster@watch-colle.com 

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◇●◇今週のトピック◇●◇

1.ウォッチコレ新着情報2022年2月4日
2.殺した。埋めた。バレたら終わり
3.ショートストーリー『ホットチョコレート』
4.ショートストーリー『おもいで時計店』

◆1◆ウォッチコレ新着情報2022年2月4日

セイコー マーベル 14044 Sマーク 赤機械 19石 手巻 OH済 推定1957年頃 Seiko
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【希少】グランドセイコー セカンドモデル前期型 43999 W SEIKOリューズ ライオンメダリオン 手巻 OH済 昭和39年/1964年製 Seiko
https://www.watch-colle.com/shopdetail/000000007194/

ジラールペルゴ リシュビル Ref.2520 ブラック文字盤 ステンレス製 Cal.3000 自動巻 OH済 USED Girard Perregaux
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ブライトリング クロノマット ブラックバード A13050.1 自動巻 OH済 2000年代 OH済 USED
https://www.watch-colle.com/shopdetail/000000007192/

ラドー ゴールデンホース 11675/2 新品風防 ETA2782 金色ムーブメント 25石 自動巻 OH済 1970年代 Rado
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ボーム&メルシェ ハンプトン シティ クロノグラフ 46mm 65430 M0A08345 自動巻 2003年購入 USED
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セイコー ロードマーベル 36000 5740-8000 10振動 手巻 OH済 昭和43年/1968年製
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グランドセイコー 6146-8000 後期型 10振動 自動巻 OH済 昭和44年/1969年製 GrandSeiko 
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カルティエ サントス オクタゴン LM 30mm 新品文字盤・針 自動巻 OH済 1987年購入品
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セイコー ロードマチック 5601-9000 絹目文字盤 アラビアインデックス ノンデイト 自動巻 OH済 昭和46年/1971年製
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キングセイコー 5621-7000 ノンデイト ワンピースケース 36mm KSメダリオン 自動巻 OH済 1970年/昭和45年製
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グランドセイコー 5646-7010 36.5mm 新品ガラス Cal.5646A 自動巻 OH済 昭和45年/1970年製
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グランプリオリエント カレンダー S84063 14金張り 35.2mm 25石 手巻 OH済 1961年頃
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ティソ クイックスター クロノグラフ 42mm ネイビー T095417A クオーツ USED TISSOT
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オメガ コンステレーション 168.004 クロスライン 純正ブレスレット Cal.561 自動巻 OH済 1966年製 Omega
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ハミルトン カーキサブ Khaki Sub 660ft 9745B 38.6mm クオーツ 1990年代 USED
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ハミルトン ジャズマスター トラベラーGMT H325850 Cal.2893-2 自動巻 OH済 2010年頃 USED Hamilton
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オメガ シーマスター プロフェッショナル 300m 2561.80 青 ミドルサイズ 36mm クオーツ 1995年製 USED Omega
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セイコー スポーツマン17 88-2990 ステンレスメッキ SEIKO尾錠 Cal.6602B 17石 手巻 OH済 昭和41年/1966年製 Seiko
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グランドセイコー 6146-8000 後期型 10振動 自動巻 OH済 昭和44年/1969年製 GrandSeiko
https://www.watch-colle.com/shopdetail/000000007169/


◆2◆殺した。埋めた。バレたら終わり

「殺した。埋めた。バレたら終わり」
「本当のノイズは、誰だ」
「この映画、とにかくヤバイ!!!」

そんなキャッチコピーで絶賛上映中の映画『ノイズ【noise】』を観てきました!

はい、大好きな藤原竜也くんと松山ケンイチさんがW主演する
新感覚サスペンス映画(公式PRより)です。

舞台は過疎化が進む絶海の孤島。

泉圭太(藤原竜也)は、この島で愛する妻や娘と共にイチジク農園を経営しており、
親友で猟師の田辺純(松山ケンイチ)が手伝っていました。

ある日、圭太は娘の自転車に跨っている怪しい男を見つけ、
揉み合いになって突飛ばした拍子に殺してしまいます。

現場には、圭太と純と、新米警察官の守屋真一郎(神木隆之介)がいました。

一旦は自首を考えた圭太でしたが、自首すれば島の復興が台無しになります。

実は、圭太の作る黒イチジクが高い評価を受け、
5億円の地方創生推進特別交付金が決まりかけているところでした。

三人は、死体を隠して「なかったこと」にしようと決意します。

「この男が消えたところで誰も追ってこない」そう考えた三人でしたが、
不運なことに、男は出所したばかりの凶悪犯(渡辺大和)だったのです。

付き添っていた保護司を殺害していたこともわかり、
島には県警から大勢の警察官と敏腕刑事がやってきます。

平和なはずの島に落とされた1滴のノイズ(凶悪犯)が徐々に波紋を広げる中、
必死で死体を隠し続ける3人。

何とかできそうだと思った矢先、死体がヤバい人に見つかり、
死体はなんと、3体に。

次第に追い詰められていく3人。そして起こるまさかの出来事!

息を飲むどんでん返しの先には、更なるどんでん返しもあります。

脇役まで演技派の俳優陣が揃い、長回しのシーンも多いため、
舞台を観ているような臨場感がありました。


原作は、筒井哲也さんの漫画。(1巻のみ無料で試し読みできます。)

https://entm.auone.jp/camp/noisemovie/lpc?medid=mc_official&srcid=movie&serial=7574

原作とはキャラクター設定が若干違い、後半と結末は大きく改変されています。

映画版のストーリーや演出には賛否両論あるようですが、
否定派のレビューでさえ、多くが俳優陣の演技力を褒め称えています。

これから観る方に、ぜひ、注目してほしいシーンは以下の通り。

1.何度かある圭太(藤原竜也くん)と娘のやりとり。
嘘くさいくらいデレデレですが、彼が実際に子煩悩だと知っているファン目線だと
その溺愛ぶりが演技ではなく素なのかも?とさえ感じてしまいます。

2.守屋(神木隆之介さん)が丁寧にビニールシートを貼るシーンの表情。
ああ、そんな……と、その後の告白がより心に響きます。

3.度々出てくる何気ないシーンの純(松山ケンイチさん)の表情や視線。
注目していると、結末が予想できてしまいますが、演技力に感動します。

4.町長(余貴美子さん)の後に横田老人(柄本明)が登場するシーン。
トラウマレベルのインパクトで、大真面目なシーンなのにほぼ全員笑います。

クライマックスの後には、伏線も綺麗に回収されるので、
スッキリしつつも、サスペンスとしてはやや平凡かな、と思いかけたその時……

ラストは藤原竜也くんの語りと涙で色々と複雑な気持ちにさせられました。

結局、本当のノイズは誰だったのか?

その答えを、ぜひ、あなたもご自身の目で確認してください。


『ノイズ【noise】』
https://wwws.warnerbros.co.jp/noisemoviejp/index.html


◆3◆ショートストーリー『ホットチョコレート』

まさか、こんな日に彼の浮気を知るなんて。

記念旅行の温泉宿に到着したばかりだった。

フロントに行った彼のスマホが鳴ったので代わりに出ると、
女性の声が「あっ」と言ってすぐに切れた。

履歴の名前は、JUN。

チェックインを済ませた彼に「JUNって誰?」と問いただすと、
一瞬顔色を変えて、「間違い電話じゃないの?」ととぼけた。

部屋に入って荷物を片付けていると、
私から少し離れて、彼がスマホを触っている。

後からそっとのぞき込むと、やり取りの相手はJUNだった。

「綺麗ですね」

「本当はすぐにでも……」

「……待ち遠しいな」

私と一緒にいるというのに、こんなことをしているなんて信じられない!

腹立たしさと悲しみかないまぜになって、居ても立ってもいられなくなる。

温泉に行くふりをして部屋を出ると、そのまま宿も出て車に乗った。

一人で先に帰るつもりだった。

来る時は、国道から10分くらいだったはずなのに、
もう20分以走っているのに大通りに出ない。

どうやら道に迷ってしまったようだ。

道を探しながら走っていると、広い空き地の向こう側に
ぽつんと小さなお店が見えた。

夕焼け空に良く似合うノスタルジックな建物は、
子ども相手の駄菓子屋さんといった感じだ。

空き地の脇に車を停めて、店に近づいてみると、
ひび割れをガムテープで修理したガラスの引き戸に、
「いで時計店」と書いてある。

時計屋さんかぁ。ここで道を訊いてみよう。

「こんにちは」

ショーケースの奥に扉が見える。

「どなたかいらっしゃいませんか?」

もう一度声をかけてみると、

「はいはい、いらっしゃいませ」

と言いながら、ぽってりと太ったお婆さんが顔を出した。

「ごめんなさい、時計を買いに来たんじゃないんです。
実は道に迷ってしまって。国道に出たいんですが……」

「あらあら、それは大変ですね」

「お爺さん、国道までの道を教えてくださいな」

お婆さんが呼びかけると、後ろから、白髪のお爺さんが現れた。

手にはポットとカップと棒付きチョコレートが乗ったお盆を持っている。

「お嬢さん、国道までは5分とかからんから、一休みしていかんかね?」

そう言いながら、カップを1つ差し出した。

「あ、いえ……」

「まあ、そう慌てんと」

お爺さんは、ポットのミルクをカップに注ぎ、棒付きチョコレートでかき混ぜた。

熱々のミルクに溶け出したチョコレートが甘く豊かな香りを放つ。

「お爺さんのホットチョコレートは世界一なんですよ」

お婆さんがにっこりと笑った。

「婆さんの好物だからのう」

あっ……。

そのとき、シワシワのお爺さんの顔が、なぜか彼の顔と重なった。

彼も、「私の好物だから」と言って、よくカフェオレを淹れてくれる。

「お昼にねぇ、お爺さんと喧嘩したんですよ」

「え?喧嘩?」

全部のシワで笑うお爺さんと、ニコニコ膨らんだお婆さんの喧嘩なんて
想像もつかなくて、思わず聞き返してしまった。

「この年になってもねぇ、まだ喧嘩するんですよ」

「それでね、仲直りするとお爺さんがホットチョコレートを作ってくれるんです」

「美味しいものを飲めば、喧嘩なんて忘れてしまうんからな」

仲の良いお爺さんとお婆さんを見ていたら、思わず涙が込み上げてきた。

「お嬢さん、どうなさったね?」

「実は、今日、彼の浮気を知ってしまって……うっ」

「それは、それは……」

「せっかく二人の記念旅行だったのに。えっ」

「もしかしたら、プロポーズされるかもって期待までしたのに……ひっく」

「お嬢さん、どうして浮気が分かったんかのう?」

「だって、女の人から電話があって……ひっく
私が一緒にいるというのに、こそこそメッセージを送ったりして……うぅっ」

「本当に浮気か確かめなさったかね?」

「いえ……ショックですぐ飛び出してしまったから……」

「あら、まあ」

「これを飲んで、落ち着いていきなさい」

「ひっく……ありがとうございます」

甘いホットチョコレートを飲んで、お爺さんとお婆さんに聞いてもらったら、
なんだかすっかり落ち着いた。

切っていたスマホの電源を入れると、凄い数の着信とメッセージがあり、
彼の慌てぶりが感じだれて。

すぐに鳴った電話に出ると、彼は泣きださんばかりに喜んだ。

JUNが屋号で、女性が宝石デザイナ─だと知ったのはその夜のこと。

彼のカフェオレを飲みながら、手違いで間に合わなかった指輪を貰ったのは、
旅行から帰ってきてからだ。

あの時計店で飲んだ世界一美味しいホットチョコレートは
一生忘れられない思い出になった。

その頃……

「お爺さん、入り口のガラス戸がとどきましたよ」

「ああ、やっと、店の名が書き直せるのう」

「そうですね」

お爺さんは、お婆さんから受け取った筆に白いペンキをたっぷりとつけて、
ガラス戸に店の名前を書いた。

「おもいで時計店」


◆4◆ショートストーリー『おもいで時計店』

「また一方通行だわ……」

トラブルの謝罪で郊外の客先を訪ね、さんざん嫌味を言われた帰りに道を、
イライラしながら運転していた。

晴れない気分をどうすることもできず、つい、運転が荒くなる。

近道しようとしたのが仇になって、どうやら迷ってしまったようだ。

さっきからずっと、路地裏の道をぐるぐると周り続けている。

なんだかすっかり疲れてしまって、空き地の脇に車を止めた。

地図で場所を確かめようとしたその時、三十メートルほど先に、
ぽつんと1軒、小さなお店があるのに気づいた。

店の看板は見えない。

の佇まいからして、子供相手の駄菓子屋さんといったところだろう。

空き地の広場に、駄菓子やさん…… まるで昭和の風景で、
なんだかノスタルジックな町だと思う。

ジュースでも買って、ついでに道を聞いてこようと車を下りた。

店に近づいてみると、ガラスの引き戸には、消えかかった白い文字で、
「いで時計店」と書いてある。

なんだ、時計屋さんか…… と少しがっかりしたが、
道だけでも訊いてみようと引き戸を開けて声をかけた。

「すみません……」

それほど広くない店内には、正面にカウンター式のショーケースが据えられている。

その向こうには、人が座れるスペースがあって、使い込んだパイプ椅子が二つ置いてある。

パイプ椅子の上には、毛糸で編んだカバーのついた座布団が乗っていた。

後ろで開けっ放しになっている襖の奥から、何とも懐かしい匂いが漂ってくる。

「ごめんください! どなたかいらっしゃいませんか?」

大きな声で呼びかけると、「はいはい、今行きますよ」という声が聞こえた。

のんびりした返事をしながらゆっくりと出てきたのは、
深い皺が刻まれた白髪のお爺さんだった。

お爺さんは、皺と見分けがつかないほど細い目をさらに細めて、
「何かお探しですか?」とにっこり笑う。

「ごめんなさい。時計を買いにきたんじゃないんです。 

道に迷ってしまって……」と言うと、
「それは大変でしたね」と優しく言った。

そのとき、さっきからずっと漂っていた懐かしい匂いがさらに強くなって、
奥からぽってりと太ったお婆さんが顔を出した。

お婆さんが持っているお皿の上には、ホカホカと湯気を立てる鬼饅頭が乗っている。

さっきからずっと懐かしいと感じていたのは、この鬼饅頭を蒸している匂いだったのだ。

小さい頃、実家の母も、よく、鬼饅頭を作ってくれたっけ……。

サツマイモと小麦粉だけでつくる素朴な鬼饅頭は、私の大好物だった。

懐かしいなと思っていると、「お嬢さんもご一緒にいかがですか?」という声がした。

見ると、お饅頭のようにふくよかなおばあさんがにっこり笑って、
アツアツの鬼饅頭を差し出している。

えっ? でも……と戸惑う私に
「急いでおらんのなら、一息ついていかんかね?」
とお爺さんも椅子を勧める。

全部の皺で笑うおじいさんの声は、
うんと小さい頃に繋いだお父さんの手の暖かさを思い出させた。

少し迷ったけれど、お礼を言って、丸いパイプ府椅子に座った。

蒸したての鬼饅頭は、ほんのりと甘くって、疲れ切った神経を緩めてくれるようだった。

思わず「美味しい……」と声が漏れる。

「たくさんあるから、どんどんお食べなさい」というお婆さんの声が、
ふと、田舎の母の声に聞こえた。

驚いて見直したお婆さんは、やっぱり、白くふっくらとしていて、
痩せて頬のこけた母とは似ても似つかない顔だ。

けれど、私を気遣い、心配するようにのぞき込むその眼差しは、
あの時の母の目と同じ優しさと愛情に満ちていた。

おかあさん……。

母は私が幼い頃に父と離婚して、女手ひとつで私を育ててくれた。

日曜日も夜中も仕事で居なかったけれど、夕ご飯は必ず一緒に食べてくれた。

私は、どんなことがあっても涙を見せずに頑張る母の背中を見ながら大きくなった。

早く母に楽させてあげたくて、中学を出たら働こうと決めていた。

ところが、進路を決定する時期になると、
母は、どうやって貯めたのかと驚くような金額の記された通帳を出して、
安心して進学しなさいと言った。

高校では死にものぐるいで勉強して、大学には奨学金を貰って通った。 

母が必死で貯めたお金を少しでも残したかったから。

卒業後は大手メーカーに就職し、初任給で母に綺麗な色のスカーフをプレゼントした。

自分のことは顧みないでずっと働いていた母に、これからはお洒落をしてほしかった。

母は、見ている方が恥ずかしくなるくらい喜んで、
そのスカーフを宝物のように大切にしてくれた。

そういえば、あの時の食卓にも、母が作ってくれた鬼まんじゅうがあったっけ……。

これからは、母を助けて、二人で楽しく暮らしていける。

そう思っていたはずなのに……。

私は、年上の男性に恋をして、母より恋人を優先するようになった。

歳の離れた恋人を快く思わなかった母とは、それから何度も衝突をした。

そして、とうとう、私は家を飛び出してしまった。

あれから三年。恋人とは去年別れて、今は一人で暮らしている。

けれど、啖呵を切って出てきてしまった手前、母のところには戻れないままだ。

母の顔を思い出したら、胸がたまらなく熱くなって、涙がどっとこみ上げてきた。

「お嬢さん、どうなさったね?」とお婆さんに訊かれて、嗚咽が漏れる。

「この…… 鬼まんじゅうがあんまり美味しいから……」

ようやくそう答えると、お婆さんは、「たんとお食べなさい」と優しく言った。

結局、私は、泣きながらお婆さんの鬼饅頭を三つも平らげた。

「お嬢さん、一息つけたかのう?」とお爺さんに尋ねられたときには、
もう、すっかり元気になっていた。

「本当に、ありがとうございました!」

にこにこと手をふるお婆さんに見送られながら、
古びたガラス戸を開けて再び外の空気を吸った時、
心は晴れ晴れとして、とても爽やかな気分だった。

一緒に出てきて道を詳しく教えてくれたお爺さんに、もう一度お礼を言って車に戻る。

バックミラーに映るおじいさんの、しわしわの笑顔を見ながら、
今夜は母に電話してこれまでの事を謝ろうと考えた。

それから、近いうちに母に会いに行って、うんと甘えてしまおうと思った。

その頃、店の外に出たお爺さんは、扉に書かれた店の名前が半分
消えかかっていることに気づいてお婆さんを呼んでいた。

出てきたお婆さんは、ドアの文字を見て、
「あらまあ、本当、ペンキで書き直しましょう」と言った。

お爺さんは、奥から缶を持ってくると、筆にたっぷりと白いペンキをつけて、
消えた「お」と「も」の文字を書き足した。

訪れる人に大切なことを思い出させてくれるこの店の名は…… 

「おもいで時計店」。


◆〇〇◆〇〇◆

最後まで読んでくださって、ありがとうございました!

あと10日でバレンタインデーですね。^^

今やバレンタインデーは、かつてのように女性が男性に告白する日ではなく、
男女関係なく、好きな人に何かプレゼントしたり、
美味しいチョコレートを食べる日になっていますよね。

私も、ショッピングモールの特設会場で、ちょっと変わったチョコレートや
美味しそうなチョコレートを探すのが恒例になっています。

それでも、やっぱり、この時期のチョコレートからは愛情を連想するので、
ショートストーリーに反映してみました。^^

もう1作は、昔書いた『いで時計店』をリライトした作品で、
「ボイコネ」https://boikone.jp/ という声劇アプリでは、
たくさんの方が素敵に朗読してくださっています。

よろしければ、お聞きになってみてください。


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